プラダ1m1132
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null「あんただって、うまくやってるみたいじゃない」 「シケてんだよ」  おしのちゃんは得意そうに笑った。 「コーヒーのむ……」 「うん」 「映画館の裏にコーヒー飲ませる新しいお店ができたの。知ってる人がやってんの」  おしのちゃんは歩きはじめた。学生たちが派手な女と連れだって行く健を、ジロジロと見ていた。健はそれを意識すると、とって置きの洋モクをとりだして、ことさらやくざっぽくくわえた。 「よしなさいよ、チンピラみたいだから」  そう言うおしのちゃんも、かなりパンパンじみていた。  その店は、コーヒーを飲ませるにしては贅沢すぎるように思えた。濃紺のソファーがテーブルを間に向き合っていて、洒落た半円形のカウンターの中に、蝶ネクタイをしめた|気障《きざ》な男がいた。 「よう……」  男は顎をしゃくっておしのちゃんを迎えた。 「この子にコーヒーやってよ」 「親戚かい」 「まあね」  おしのちゃんはそう言い、なれなれしく健の上着のポケットに手を突っ込んで、ラッキー・ストライクの袋をつまみだした。さっきしまったのを見ていたらしい。  蝶ネクタイの男が、カウンターの中からマッチをつけてやる。 「ママは」